前回は、ハーブ・カネさんがハワイ島カウで壁画を制作中に経験した不思議話を紹介しました。今回はその後日談をシェアしましょう。
壁画が完成してから2年後の1975年のこと。この地がまたもや、津波に教われました。その際カネさんはハワイ島コナのキング・カメハメハホテルにて、新たな作品創りに取りかかっていたそう。ある早朝、C.ブルーワー社の責任者から電話があり、リゾート一帯が泥流に襲われ、カネさんの壁画が飾られた歴史センター、そして隣接するレストラン、キッチンの内部が滅茶苦茶になってしまったと知らせてきたそうです。
「じゃ、あの壁画はどうなった!?」
カネさんが尋ねると、相手は言いました。「…自分で見に来たほうがいい。おかしなことがあるんだ」。なんと! 建物内部が泥流で破壊され、展示物や調度品が一方の壁に押し流され、壁には高さ約1メートルのところまで泥の線が付いているというのに。カネさんの壁画だけは無傷だというのです! 壁画は地面と接しているのに。…さっそくカネさんが歴史センターに駆けつけて確認すると、それは本当でした。不思議なことに壁画だけは全く泥がかかることなく濡れることもなく、きれいなまま残っていたのでした。
これって、常識では考えられないことですよね? 壁画だけが守られていたわけで、やはり超人的な何かが作用したとしか考えられません。カネさんもあれこれ論理的な説明を試みましたが、どんな理屈もあてはまらず…。結局、誰かが言った「ここはカウの地だよ。ペレの御意思に決まってるじゃないか」という言葉に、頷くほかありませんでした。地震を起こして津波を起こすのもペレ。それで何を破壊し何を守るか、決めるのもペレ…。ペレ信仰の大変強いハワイでは、こんなこともまんざら、ありえないわけではないのですね。
…結局、津波の被害があまりにもひどかったため、歴史センター&レストランはそのまま閉鎖されてしまったそうです。
この話にもさらに後日談があって(ここから先はハワイ島の新聞の報道によります)。な、なんとカネさんの素晴らしいその壁画が、2005年に盗難にあってしまったのです! 歴史センターは閉鎖されたものの施錠されていなかったので、人々はまだ、壁画を見に訪れていたそう。カウに住む人々はよく、遠方からの客を連れて絵を見に来ていたよう。地元の人々にとってカネさんの壁画は誇り、宝物だったんですネ。
ところが2005年5月のこと。無人の歴史センターから、壁画が盗まれているのが発覚しました。何ものかは壁から絵をはぎとり、おそらくナイフで5つに分断して持ち去ったようです。壁画が盗まれるってどういうことなのかな?と思うのですが、(私はアートに疎いのでわからないのですけれど)壁画といえども壁に直接描かれるわけではなく、キャンパスとか布地に絵が描かれるわけですね? この壁画は7.2メートル×3メートルという大作なのですが、それを犯人はまんまと分断して(ぶち壊しにして)盗んだようなのです。
カネさんは報道の中でインタビューに答え、もう怒り心頭という感じで。「優しい言い方をすると、僕は怒っている、ということだ」「感想だって? 新聞に載せていいような言葉じゃ言えやしないよ」とも…。
怒り心頭に達したカネさんは、「仕返し」の手段として、この絵をもう一度描き直すことにしました。新しい壁画は2007年5月に完成。「こっちに比べたら、その精密さにおいて、泥棒が今も持ってる古い方の絵は単なるスケッチ程度のものだね」と言い放ち、清々とした気分のようです(カネさんって可愛い人ですね~)。
もちろん新壁画は元の場所には戻されず、隣町パハラにあるP.T.Cafeという店に飾られているそうな。近くにお出かけの際は、ぜひお出かけください~。ちなみに2005年の盗難の犯人は、まだ見つかっておりません。


コメント (8)
Aloha!JUNさん!
早速続編をありがとうございました!
壁画はどこに行っちゃったのでしょうか。
なんと罰当たりなことをする人がいるもんですね!!
カネさんのご心中、お察しします・・・。
アーティストにとって作品は
子供みたいなものといいますし。
それにしても
カネさんの「仕返し」、
ユーモアがありますね。
写真でしか知らないカネさんのキャラクターを
垣間見た気がしました。
投稿者: Lokelani. | 2009年04月18日 18:59
日時: 2009年04月18日 18:59
ロケラニさん、こんにちは~。
罰当たりといえば、歴史センターの近くの住民は、インタビューの中でこんなこと言ってました。
「壁画を盗んだ犯人はきっと、生涯ひどい悪運に見舞われるでしょう。こんな罪なことをして」
きっとそうだろうと思いますよ!
2重にも3重にもひどいことしたんですものね。
ペレさえ守った素晴らしい壁画だったというのに。
本当にカネさんって可愛らしい性格。
しかも、とにかく腹が立ったんでしょうね。
もう一度なんとか回復せずにいられなかったのでしょう。
投稿者: JUN | 2009年04月19日 04:27
日時: 2009年04月19日 04:27
JUNさん、アロハ!
やはり、ニコニコ笑って立っていたおばあさんはペレだったんだなって思いました。
自分が気に入った絵だからペレは汚すことなく残したんじゃないかって思います。
しかし、この盗んだ犯人はペレの逆鱗に触れて、相当酷い目に遭ってることでしょう。
まぁ、自業自得ですね。
カネさん、盗まれた作品よりさらに良いものを描いて怒りを表現するなんて、
芸術家としての意地だったんでしょうね。
それを盗んだ作品なんてスケッチ程度だって言い切っちゃうカネさん、素晴らしい!
投稿者: COZY | 2009年04月19日 08:02
日時: 2009年04月19日 08:02
カネさんの、シニカル&ユーモアがある「仕返し」で済んでいることを願うわ~。
盗んだ人に、ペレの制裁が起きていないことを願います……
怖ッ!!!Σ(ll||д゚ノ)ノ
でもよかった。カネさんの絵が再生(復刻)されて!!
投稿者: hoihoi | 2009年04月19日 08:13
日時: 2009年04月19日 08:13
JUNさんALOHA^^
うわぁ~「森出じゅんファン」にはたまらない
2本立てのミステリー♪(笑)
この手の話にはワクワクしますね~。
壁画の奇跡は現実には絶対あり得ないですもんね~。
新しい始まりのために「破壊」をし「与える」ペレ。
爆発と沈静。
カネさんの壁画に描かれている絵の中に「テーマ」が
隠されていて、それがペレの「教え」や「教訓」
として「言いたいこと、伝えたいこと」なのかも・・
と思ったらその絵をむしょうに見たくなりました(笑)
そして「優しい言い方をすると、ボクは怒っていると
いうことだ・・。」
これ気に入りました。
怒り心頭の時使ってみたい言葉です(笑)
何よりも怒りが表現されていますよね。
絵を描く人、踊りを踊る人など「表現する人」は
コトバも詩的で素敵ですね~。
投稿者: tiki | 2009年04月19日 10:41
日時: 2009年04月19日 10:41
コージーさん、ALOHA!
やはり例のおばあさんは、ペレだったのでしょうかねえ~。
ペレも喜んだ絵を盗んじゃった泥棒。
これはマズイですね!
カネさんは、相当の画家魂というか、よい意味で執念深い方だと思いました。
作品を盗まれた怒りにプラス、「あんなに素晴らしい作品だったのに」「あんなに住民が喜んでくれたのに!」と思うと、再生しないではいられなかったんでしょうね。
自分の癒しのためにも…。
投稿者: JUN | 2009年04月19日 12:52
日時: 2009年04月19日 12:52
ホイホイさん、こんにちは~。
犯人には、どんなことが起こってるのでしょーね。
でもご安心を…。
「不審死の男の家からハーブ・カネの作品発見される」
なんて報道は、まだありませんから~。
カネさんは、「壁画はまだハワイ島にあるような気がする」と言っていました。
いつか見つかるのでしょうか。
投稿者: JUN | 2009年04月19日 12:56
日時: 2009年04月19日 12:56
ティキさん、ALOHA!
喜んで読んでいただけてよかった。
私も書いていてワクワクしました(笑)。
こういう話のネタ、いろいろあるのですが、書く根性がなかったり…。
「書くと長くなりそう」とか「リサーチもしなきゃ書けないし」とかって。
おいおい頑張って書いていきますね!
さてこの絵のビーチって、黒砂海岸だし、カウって考えれば考えるほどペレ絡みの土地なんですよね。
絵が津波の被害を受けなかったのは、本当に不思議です。
それにしてもハーブ・カネって、画家&歴史家&文筆家であり、スゴイ才能の持ち主。
言葉での表現力も素晴らしい。
インタビューしてみたいな~!
投稿者: JUN | 2009年04月19日 13:04
日時: 2009年04月19日 13:04